工房通信2(浄法寺のうるしを使って、、、)

漆畑でうるし掻きのまねごとをする私
 右の写真は大森さんのうるし畑でうるし掻きをしている所です。この漆の木は昨年切り忘れた木で、練習しています。           現在、浄法寺ではうるし掻きさんは「殺し掻き」という方法で漆かきをしています。一年で、すべての漆を採ってしまって、その後木を切ってしまうやり方です。これに対して昔は、「養生掻き」というのがあって数年に一度掻く方法です。これはうるしの実から蝋を採るために行われていたそうです。 写真の左下に古いキズが大森さんが付けたもので、その下のところが私が付けたものです。キズはそれなりに真似ることができるのですが、今やっているヘラ使いがむづかしいのです。どうしてもキズのみぞからうるしがはみでてしまいます。大森さん十三歳の力のない時からやっているので無駄な力を入れない方法が身についているそうです。金閣寺の改修の時うるしが足りなくて、大工さんもうるしを採ったそうですが、うるし掻きさんの半分も採れなかったそうです。やはり餅屋は餅屋、、、、
             うるしを掻く                
               木を彫る         楢の木で椿皿を彫る
 北海道産の楢で下の写真の椿皿を彫っている所です。ほとんどのどの人が私の椿皿を轆轤引きの後ノミでタッチを付けたものと勘違いします、そして高いと言います。でもけして高くありません!だって時間給にしたらやってやれないぐらい安いです。    今回は一日中この作業を1月半やりました。もうこうなつたら、やけくそです。最後には手が挙がらなくなりました。
 右の写真を良く見てください、ノミと木ズチの柄は手作りのグミです。グミは樫の柄と違って手にひびかないのですごく使いやすいです。もちろん自分で山で取ってきたものです。昔の職人さんは自分の道具は使い安いように自分で仕立ていました。
椿皿に赤い漆を塗る                           
中塗りの黒の後に赤い漆を塗っている所です、今回は日華朱赤口に浄法寺漆1:1にしたのですが、国産漆は乾きが安定していないのです。ぜんぜん乾かなかったり、ものすごく早く乾いて赤黒くなります。
 でもそこが面白いのです。陶器でいえば登り窯で焚くみたいに予想がつかないのです、特に生うるしは同じ木に塗っても毎回表情が違います。
 今回のりほうの個展の案内状の写真がそうです。

               うるしを塗る

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